artscapeレビュー

プレビュー:スネーク・ダンス

2016年09月15日号

会期:2016/10/03

京都コンサートホール[京都府]

ベルギー人監督マニュ・リッシュのドキュメンタリー映画「スネーク・ダンス」の上映と、同映画で音楽を担当した日本人ピアニスト菅野潤のリサイタルで構成される公演。「スネーク・ダンス」は、原子爆弾の起源から3.11後の日本へと至る、アフリカ、北米、アジアの3つの大陸をつなぐ物語である。原子爆弾は、当時ベルギーの植民地であったコンゴで採掘されたウランから生まれ、ニューメキシコ州ロス・アラモスで科学者たちによって製造され、日本で試された。
この映画では、隠れた案内人としてドイツの美術史家・思想家のアビ・ヴァールブルクが参照され、音楽は菅野潤が演奏するベートーヴェンとショパンのピアノ曲が流れる。これらの曲は、広島に原子爆弾が投下される少し前に、開発に携わった物理学者のオットー・フリッシュがロス・アラモスで弾いた曲でもある。異なる時代と場所をつなぐ楽曲は、映画の上映後に続くリサイタルでどのように響くのだろうか。

2016/08/29(高嶋慈)

2016年09月15日号の
artscapeレビュー