artscapeレビュー

新世代への視点2016 水戸部七絵

2016年09月15日号

会期:2016/07/26~2016/08/06

gallery21yo-j[東京都]

東横線沿線ギャラリーの3連発、最後は自由が丘から徒歩15分、坂を上った住宅街にあるギャラリー21yo-j。「新世代への視点」は銀座・京橋の画廊が毎年夏に開いてる企画展シリーズだが、ここは銀座から移転後も参加している。水戸部七絵は絵具をテンコ盛りにした作品で知られるが、今回も鉄製パネルに油絵具を山のように盛り上げた「絵」を出品。近ごろ絵具を色の道具としてではなく量塊として扱うアーティストが何人かいるが、ここまで盛り上げた作品は見たことがない。なにしろ小さめのもので厚さ10センチほど、大作では厚さというより高さ60センチくらいあるのだから。そのまま壁に垂直に掛けたら絵具がずり落ちてしまうので、斜めに掛けている。そのためかろうじて絵具が斜面に踏みとどまっている。と同時に、かろうじて彫刻ではなく「絵」であることに踏みとどまっている。ちなみに大作はグリーン系の絵具がこんもり盛り上がってるので山かと思ったら、人の顔だそうだ。なるほど横から見れば顔に見えないことはないし、もし山だったら真上から見た絵ということになってしまう。ほかの作品も人体や人の顔で、モチーフは一貫しているようだ。

2016/08/03(水)(村田真)

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