2018年01月15日号
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artscapeレビュー

岡山芸術交流2016

2016年11月15日号

会期:2016/10/09~2016/11/27

旧後楽館天神校舎跡地+岡山県天神山文化プラザ+岡山市立オリエント美術館ほか[岡山県]

各地で国際展や芸術祭が激増している。増えるのは悪いことではないが、問題は優れたアーティストやキュレーターは限られているので、被ってしまうこと。結果どこも同じような顔ぶれ、似たような作品が並ぶことになる。そもそも国際展や芸術祭はほかとの差異化を図り、独自性を打ち出さなければ意味ないのに、横並び体質の行政が主導するとどうしても均質化してしまうのだ。これでは見に行く気がしない。そんななか、ぜひ見に行きたいと思ったのが「岡山芸術交流」だ。なぜ見に行きたいかというと、まず第一に行政主導ではなく、岡山の実業家でコレクターの石川康晴氏が主導していること。第二に、そのためキュレーターもアーティストもほかとあまり被っておらず、独自性を発揮できていること。第三に、作品の多くはわかりやすい絵画や彫刻ではなく、見る者に「芸術とはなにか」を考えさせる広義のコンセプチュアルアートであることだ。だからとっつきにくいかもしれないが、近ごろの住人や観客にこびたようないわゆる「地域アート」よりずっといい。
参加作家は31組で、日本人は4人だけ。多少とも名を知られているアーティストはフィッシュリ&ヴァイス、ピエール・ユイグ、ジョーン・ジョナス、リクリット・ティラヴァーニャ、ローレンス・ウェイナー、眞島竜男、島袋道浩くらい。アーティスティックディレクターを務めるリアム・ギリックともども、大半が無名のアーティストなのだ。その姿勢は潔い。ただし出展作品は、アーティストが来日してつくった新作ばかりというわけにはいかず、3分の1は石川氏のコレクションから出ているという。じつは個人的に一番おもしろかったのは、これら旧作を使ったオリエント美術館での展示。モザイク画の隣に赤いミニマル絵画を展示したり(ロバート・バリー)、古代遺物の上方にパンダとネズミのぬいぐるみを吊るしたり(フィッシュリ&ヴァイス)、美術館側もよくやらせたもんだと感心する。ほかにも、銀色に輝く彫刻が駐車場跡地に軟着陸したようなライアン・ガンダーの《編集は高くつくので》や、武器としての弓が弦楽器の弓に変化していく過程を映像化した島袋の《弓から弓へ》が強い印象を残した。どちらもとぼけた外観の内に強いメッセージ性が読み取れる作品だ。やっぱり国際展=芸術祭はこうでなくっちゃ。

2016/10/08(土)(村田真)

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