2018年10月15日号
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artscapeレビュー

ゴッホとゴーギャン展

2016年11月15日号

会期:2016/10/08~2016/12/18

東京都美術館[東京都]

ゴッホとゴーギャン──。いまでこそ近代美術史に燦然と輝く巨匠だが、ふたりが出会ったころはどちらも売れない貧乏画家だった。彼らが南仏アルルで共同生活を始めたのも、生活費を浮かすためでもあった。でもその共同生活もわずか2カ月で破綻。例の「耳切り事件」でゴッホは精神に異常をきたし、身の危険を感じたゴーギャンはアルルを去ったからだ。ゴーギャンがタヒチへ旅立つのはその2年半後のこと。このふたりの共同生活は、ゴッホの伝記においては決定的な意味を持つが、ゴーギャンにとっては初期の1エピソードにすぎない。そもそも共同生活を提案し、熱烈にラブコールを送ったのはゴッホであり、終止符を打ったのもゴッホであって、ゴーギャンにとってはいい迷惑だったはず。そんなふたりの関係だから、この2人展も当然ゴッホに焦点が当てられ、ゴーギャンは脇役だ。ちなみに出品点数はゴッホ28点、ゴーギャン22点、その他18点(ミレー、ピサロ、ロートレック、セリュジエなど)となっている。
最大の見せ場はもちろんアルルでの共同生活の期間で、それを象徴するのがゴッホによる《ゴーギャンの椅子》だ。しかしそれ以外に、例えばゴーギャンによる《ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ》とか、ふたりが同じモチーフを描いた作品(ジヌー夫人やルーラン夫人の肖像、アリスカンの風景など)がないのが残念。いわばアリバイが少なく、説得力に欠けるのだ。と思ったら、晩年のゴーギャンの手になる《肘掛け椅子のひまわり》があった。これは共同生活から13年後、ゴッホの死から11年後、そしてみずからの死の2年前に、遠く南太平洋の島で描いたもの。ゴーギャンはなにを思ってこれを描いたのだろう。ほかにゴッホの《収穫》《オリーブ園》《刈り入れをする人のいる麦畑》《渓谷(レ・ペイルレ)》、ゴーギャンの《タヒチの3人》など見るべき作品は少なくない。

2016/10/07(金)(村田真)

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