2018年10月15日号
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artscapeレビュー

董其昌とその時代─明末清初の連綿趣味─

2017年02月01日号

[東京都]

会期: 2017/01/02~2017/02/26  東京国立博物館
会期: 2017/01/04~2017/03/05  台東区立書道博物館

14回目となる東京国立博物館と台東区立書道博物館の連携企画は、明時代に文人として活躍した董其昌(1555~1636)の書画の特集。董其昌は書においてははじめ唐の顔真卿を学び、王羲之ら魏晋の書にさかのぼった。画においては元末四大家から五代宋初の董源にさかのぼり、宋や元の書家の作風を渉猟。文人画の伝統を継承しつつものちに奇想派と呼ばれることになる画家たちの作品の先駆けとなる急進的な描法による作例も残した。董其昌が生きた時代は明王朝から清王朝への移行期。清の康煕帝と乾隆帝が董其昌の書画を愛好したことで、その影響は大きく、その理論と作風は江戸期の日本の書画にも反映されているという。展示は東博会場と書道博物館会場でそれぞれ董其昌前夜から同時代、日本を含む後世への影響までを国内所蔵作品により6つの章で紹介している。出展作品の中でとくに興味深く見たのは、「行草書羅漢賛等書巻(東博会場)」、「臨懐素自叙帖巻(書道博物館会場)」。いずれも唐代の書家・張旭、懐素らがはじめた狂草とよばれる、草書をさらに崩した書だ。
董其昌には書画に関する優れた鑑識眼を持ち、後代にまで影響を与える作品を残した書家としての評価がある一方で、人物的には大いに問題があったようだ。35歳で科挙に及第した董其昌は10年後にいったん官職を辞しているが、その後官職への復帰と辞職をくりかえすなかで権力を濫用し、高利貸しなどによって蓄財、それを広大な邸宅の建築、書画の蒐集や趣味に費やし、美しい女性たちに囲まれて暮らした。本展図録のコラム「画禅室余話─董其昌の光と闇─」では、董其昌の人物面について、こうした興味深いエピソードがいくつか紹介されている。[新川徳彦]


2017/01/10(火)(SYNK)

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