artscapeレビュー

第65回東京藝術大学 卒業・修了作品展

2017年02月15日号

会期:2017/01/26~2017/01/31

東京藝術大学構内[東京都]

芸大に展示されていた先端芸術表現科の修士の作品を見逃していたので再訪する。注目したのはふたり。菅沼朋香は昭和レトロなインスタレーションのなかで、本人がオウムのピーちゃんと腹話術をしている。現代社会に背を向けて趣味の世界に耽溺しつつ、それを作品化して公表してしまう根性が見上げたもんだ。レトロな趣味もここまでやれば先端だ。でも会期中ずっとパフォーマンスしてるんだろうか。濱口京子は黒い絵とモノクロームの壷の絵の写真を数組並べている。これは黒い絵具で壷を描いていき、最後は画面全体を真っ黒に塗り込めてしまうのだが、その過程を1枚の写真に蓄積して壷のイメージを浮かび上がらせるという仕掛け。いささか理屈っぽいが、黒く塗り込める行為とそこに痕跡を見出す行為が共感を呼ぶ。

2017/01/30(月)(村田真)

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