2018年07月15日号
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artscapeレビュー

マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実

2017年03月01日号

会期:2016/10/25~2017/02/26

森アーツセンターギャラリー[東京都]

ヴェルサイユ宮殿所蔵のおよそ200点の美術品と資料等から、マリー・アントワネットの生涯をたどる展覧会。アントワネットをはじめ宮廷の人々の肖像画、彼女の人生と重なる国家的出来事を刻んださまざまな版画、彼女自身が身に付けた衣装、宮殿内を華やかに飾った調度品や食器の数々など、多種多様な展示品で「繊細で優美」といわれるロココ美術を堪能することができる。また、ランパ織という室内装飾用の布や、かの「首飾り事件」で知られる王妃の首飾りなど、当時の原画に基づいて現代の技術で複製された展示品からは、ロココ美術が到達したデザインや技術のレベルの高さをつぶさに見て取ることができる。会場内には、プチ・アパルトマンの浴室、図書館、居室など王妃のプライベート空間が実物や映像をつかって原寸大で再現されており、宮殿内に足を踏み入れたかのような感覚を楽しむこともできる。
フランス王妃、マリー・アントワネット。その悲劇的でドラマティックな生涯には日本でも関心が高い。貧困に苦しむ民衆をよそに贅沢と享楽に明け暮れた愚かな女性といったイメージがある。しかし本展をみて、自己プロデュースの才に秀で、幼いころから感性を磨き上げた宮廷美術の権化であり、ロココ美術を頂点へと押し上げた類い稀な能力の持ち主という見方もできるのではないだろうか、と認識があらたまった。[平光睦子]

2017/02/07(火)(SYNK)

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