2018年01月15日号
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artscapeレビュー

つくるガウディ

2017年03月01日号

会期:2016/11/05~2017/03/31

INAXライブミュージアム[愛知県]

INAXライブミュージアムで「つくるガウディ」展を見た。「土・どろんこ館」会場の企画「つくるガウディ─塗る、張る、飾る!」は、左官とタイルの職人の手によりアントニオ・ガウディ「コロニア・グエル教会」の未完の尖塔を、4分の1スケールでつくるというプロジェクト。1898年に教会建設の依頼を受けたガウディは10年にわたって模型実験を続け、工事が始まったのは1908年。半地下の聖堂は完成したものの、構造実験を反映するはずだった地上部分は未完のままになった。この地上部分を、ガウディが残した構造模型の写真から教会の設計を考察した松倉保夫氏の『ガウディの設計態度』(相模書房、1978)を元に建築家の日置拓人氏が立体を起こし、工場で作った構造体を展示室に建て込み、左官職人の久住有生氏とタイル職人の白石普氏が仕上げていく。筆者が展示を見た2月初めには、丸太で組んだ足場の上でタイルと左官による仕上げの公開制作が行なわれていた。使われている土は愛知県豊田と兵庫県淡路のもの。タイルは白石氏がデザインし、ミュージアム内の「ものづくり工房」で製作されたオリジナルが用いられている。「コロニア・グエル」でガウディがどのような装飾を計画していたのかは分かっていないそうで、それならば再現の際には実現した地階部分や建設中のサグラダ・ファミリアに倣ってつくらないのかという疑問が浮かぶが、ガウディが現場の職人たちと対話しながら工事を進めていったことを考えれば、地域の素材を使い、現場の職人の技術に従うことが、その建築思想を再現するここでの方法論なのだ。タイルはあらかじめ焼いておかなければならないが、貼り方は現場で決まり、タイルの構成によって仕上げの土の色も決まる。完成は3月末。4月中旬から5月末にかけて完成披露展示が予定されている。これまでの制作風景動画を同ミュージアムのホームページで見ることができる(http://www1.lixil.co.jp/culture/event/080_live_m/003614.html)。
本プロジェクトの会場である「土・どろんこ館」は、2006年に日置拓人氏の設計と久住有生氏の左官仕事でつくられたもの。日置、久住、白石ら3氏が登壇して2月11日に同館で行なわれたトークセッションでは、企画段階で訪れたバルセロナでの珍道中(?)や、「土・どろんこ館」建設にまつわる裏話などが披露された。このほか、「世界のタイル博物館」企画展示室では約40年にわたってガウディ建築を実測し、手描きによる図面制作を行なってきた田中裕也氏(本展の総合アドバイザーでもある)の図面とその道具が展示されている。[新川徳彦]


左:「土・どろんこ館」会場風景 右:「世界のタイル博物館」企画展示室会場風景

2017/02/11(土)(SYNK)

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