2018年10月15日号
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artscapeレビュー

宮永甲太郎展

2017年03月01日号

会期:2017/01/28~2017/02/05

楽空間祇をん小西[京都府]

玄関を入ると土間があり、3つの和室が続いたあと、坪庭と離れがある典型的な京町家のギャラリー。そこで陶芸家の宮永甲太郎が、あざやかなインスタレーションを見せた。自然光のみの室内は、さながら『陰翳礼賛』(谷崎潤一郎)の如し。最初の部屋には3点の巨大な甕(かめ)が並んでいる。マグリットの《聴取室》を思わせるデペイズマン的光景だ。そして2室目に入ると、畳を外して水を張った3室目と坪庭越しに離れが見える。離れには十数個の巨大な壺がすし詰めになっており、観客は2室目からその光景を眺めるのだ。まるで池越しに薪能を見ているような情景。空間の特性を見事に生かした作家の手腕に、大いに感心させられた。宮永は2014年の「木津川アート」でも大規模なインスタレーションを行なっている。公園の池に巨大な壺をいくつも配置し、池の水位を下げて壺の上半分が島のように配された情景をつくり出したのだ。いまや宮永の関心は、作陶を超えて巨視的なスケールに至ったのであろうか。いずれにせよ彼が充実期にあるのは間違いない。

2017/01/31(火)(小吹隆文)

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