2018年07月15日号
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artscapeレビュー

《バルセロナ市歴史博物館》

2017年06月01日号

[スペイン]

ローマ時代の市壁が隣接する近世の館をリノベーションした、一見とても地味な建築だけど、市歴史博物館が、印象深い空間の体験だった。地下に降りると、洗濯屋、魚の塩漬け、ワイン製造所などローマ時代の遺跡の上をブリッジでずっと歩く。古代と現代の対比なら、それほどめずらしくはない。だが、ここはさらに中世の教会や墓地が上書きされたことも保存・表現し、パランプセスト的な時空間をブツで感じる! その上が近世で、外に出ると現代なのだから。以前、首都高解体による日本橋再生の「美しい日本」案を批判した『美しい都市・醜い都市』(中央公論新社、2006)で表明したのも、複数の時間が層をなす都市が望ましいのでは、ということだった。市歴史博物館は組積造が残るヨーロッパならではだが、地下の展示を見て、外の地上に出ると、これまでと風景の見え方が変わる。

2017/03/30(金)(五十嵐太郎)

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