2018年01月15日号
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artscapeレビュー

総合開館20周年記念 山崎博 計画と偶然

2017年06月15日号

会期:2017/03/07~2017/05/10

東京都写真美術館[東京都]

展覧会終了後1カ月たたずして亡くなってしまった。癌だったから、今回が最後の個展になるだろうことは覚悟していたはず。同じ日に田原桂一の訃報も届いた。なんてこった。山崎さんと初めてお会いしたのは70年代末、新宿東口駅前にあった喫茶店だ。太陽の光跡を長時間露光で捉えた「HELIOGRAPHY」のシリーズをどこかで見て、インタビューしたいと思ったのだ。そのときどんな話をしたのかほとんど忘れてしまったが、ときおり眉を寄せて早口でしゃべる表情はよく覚えている。
展覧会は「HELIOGRAPHY」の前段階の「AFTERNOON」「OBSERVATION 観測概念」シリーズから始まり、ガラッと変わってそれ以前の土方巽や赤瀬川原平、黒テント、寺山修司、山下洋輔など前衛芸術のドキュメント写真が続く。スタートは60年代末なのだ。ということは、先輩たちが破壊し尽くした表現のゼロ地点から始めなければならなかったことを意味する。だからカメラを選んだ彼は、写真の原点であるニエプスのヘリオグラフィーに立ち返る必要があったのだ、と思う。そこから「HELIOGRAPHY」「水平線採集」シリーズに発展していく。その後「櫻」シリーズみたいな色ものもあるが、山崎博といえばやはり太陽の光跡であり、水平線に尽きる。ほぼ同世代の同じ博の名のつく写真家に「水平線」を持っていかれたことを、どう思っていたのか。

2017/05/10(水)(村田真)

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