artscapeレビュー

未来への狼火

2017年06月15日号

会期:2017/04/26~2017/07/17

太田市美術館・図書館[群馬県]

太田市美術館・図書館へ。2度目だが、図書館がオープンしてからは初の訪問である。今回は館の全体が稼働しているので、確かに2つの施設のアクティビティが相互に感じられる空間体験だった。美術の展示も、館内の図書エリアのあちこちに染み出す。開館記念展「未来への狼火」のタイトルは、太田市の清水房之丞の1930年の詩集からとったものである。3部構成になっており、最初が太田市の風土と景観を、淺井裕介、藤原泰佑、前野健太が発見する。続いて2階では、リサーチをもとに、郷土と所縁が深い、近代の絵画や工芸、石内都、片山真理らを紹介する。そして螺旋階段を上って、最後の部屋が、林勇気の映像インスタレーションで未来を描く。地域性と向きあう展示の態度は、アーツ前橋のオープニング展もほうふつさせるだろう。

写真:左下2枚=淺井裕介 右上から=藤原泰佑、片山真理、林勇気

2017/05/27(土)(五十嵐太郎)

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