2018年06月15日号
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artscapeレビュー

スイス国立博物館

2017年06月15日号

[スイス]

19世紀の様式建築である本館に対し、リベスキンド風の過激な造形による増築部分が昨年完成し、新旧の建築が対峙する。賛否両論があるようだが、日本の学生が歴史建築で何か提案すると、完全に守りに入って、新築を隠す方向にいくのと逆のデザインだ。国立博物館の常設も、ホワイトキューブではないインテリアゆえか、かなり攻めた空間展示デザインを導入していた。増築部分で開催されていた1917年のロシア革命の企画展は、冒頭と最後にアートや建築を紹介し、真ん中は歴史を振り返る。冒頭はロシア・バレエやロシア・アヴァンギャルドなどで、特にストラヴィンスキーによる「春の祭典」の自筆楽譜がカッコいい。最後はソビエトパレスのコンペなどを展示するが、反動的な一等案として有名なボリス・イオファンのオリジナル・ドローイングを見たのは初めてである。ソビエトパレス・コンペでも、ETHが所蔵するCIAMアーカイブが活用されていた。ル・コルビュジエ、ギーディオンらのメンバーが、スターリンに送った手紙であり、選ばれた一等案は、革命の精神にそぐわないのではないかという批判である。これをスターリンが実際に読んだかどうかは知らないが、おそらくザハ・ハディドも安倍首相に直談判したかったに違いない。

写真:左上=スイス国立博物館本館 左下2枚=常設展 右上から=新館、ボリス・イオファンのドローイング、ル・コルビュジエのソビエトパレス落選案

2017/05/13(土)(五十嵐太郎)

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