2017年07月15日号
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artscapeレビュー

田嶋悦子展 Records of Clay and Glass

2017年07月01日号

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会期:2017/06/10~2017/07/30

西宮市大谷記念美術館[兵庫県]

1980年代から活躍し、国内外で高く評価されている陶オブジェ作家、田嶋悦子が、これまでの活動を振り返る個展を西宮市大谷記念美術館で行なっている。出展作品は、1987年の《Hip Islnad》から最新作《Records》(画像)までの15点。点数が少ないと思われるかもしれないが、大作やインスタレーションが多いので、けっして物足りなさは感じない。田嶋は陶とガラスを組み合わせるのが特徴。そのスタイルを確立した1990年代の《Cornucopia》シリーズも展示されていたが、筆者が注目したのは前述した2作品だ。《Hip Island》は数百のパーツを組み合わせたインスタレーションで、植物から着想したフォルムと黄、赤、金などのあざやかな色彩が大きな特徴である。1980年代の関西美術界に溢れていたバイタリティーを体現したような作品だが、これまで実見する機会がなかった。やっと出合えて嬉しい限りだ。一方《Records》は机上に陶とガラスから成る120個の作品が並んだもので、陶の表面にアジサイの葉を転写しているのが特徴である。田嶋は美術館で縄文土器の展覧会を見た際に、幼子の手足を押しつけた陶製アクセサリーを発見し、やきもので記憶を表現できることに気付いたという。ガラス部分もこれまで用いていたパート・ド・ヴェールではなく、板ガラスをカットしていたのが印象的だった。本展は、田嶋の約30年に及ぶキャリアを総括しつつ、新シリーズの門出を高らかに歌い上げたものだ。「まだまだやるぞ」という作家の声が聞こえてきそうな、気持ちのいい個展だった。

2017/06/10(土)(小吹隆文)

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