2017年07月15日号
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artscapeレビュー

マネキンミュージアム

2017年07月01日号

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七彩アーカイブス 彩sai[大阪府]

洋装の登場とともに急速に需要が高まったマネキン。戦後、パイオニアであった島津マネキンは製造を中止し、代わって京都に設立されたのが七彩工芸(現 七彩)だった。同社の初代社長向井良吉は東京美術学校で彫刻を学んだ人物で、洋画家の向井潤吉の弟である。マネキンミュージアムでは、七彩が所蔵する日本最古のマネキン、また50年代から現在までの各時代のマネキンの変遷、写真家ベルナール・フォコンが収集したアンティーク子供マネキン、同時代の資料等を展示している。向井が最初期に制作したマネキン(素材:楮製紙)と、当時大ヒットとなった婦人マネキンFW-117の彫刻的フォルムの古典的な美しさから、その歴史は始まる。60年代には膝小僧を出してミニスカートを流行させた決めポーズをしたマネキン、70年代には百貨店からの希求によってより人間化したリアルなマネキンが製造された。80年代には、ヨーガン・レールとの共同開発で生まれた「空間をシンボリックに存在するモニュメント」として、日本人らしく顔が大きめでフラットな人体、自然なポーズをしたマネキンも現れた。同社と京都服飾文化研究財団およびメトロポリタン美術館衣装部門と共同で開発された博物館用モデル、時代衣装用のマネキンは現在、西欧10か国以上で使用されているそうだ。時代を追っていくと、素材の変化、目を開いたままの人間から型取りした(Flesh Cast Reproduction)技法の革新、女性の表象やイメージの変遷、数多くの時代を代表する美術家/デザイナー/洋装学校教育者たちの関与等、鑑賞の切り口がたくさんある。[竹内有子]

2017/06/07(水)(SYNK)

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