2017年08月01日号
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artscapeレビュー

新居上実「配置」

2017年07月15日号

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会期:2017/06/08~2017/07/02

Kanzan Gallery[東京都]

新居上実(にい・たかみつ)は1987年、岐阜県生まれ。2014年の第11回写真「1_WALL」展でファイナリストに選出されている。今回のKanzan Galleryでの個展には7点の作品が展示されているが、そのうち5点はバックライトフィルムにインクジェットプリンタで出力した写真を、ライトボックスにおさめて壁に掛けてある。ほかの2点は、オフセットで印刷した写真で、テーブルの上に重ねておき、観客が自由に持ち帰ることができるようになっていた。被写体は石、紙、スチロールなどの断片的、日常的な物体で、それらを机や床の上に直接置いたり、ビニールシートや布を敷いて並べたりしている。おおむねストレートな描写だが、写真を8枚モザイク状に置いて、それを複写した作品もあった。
とてもセンスのよい、よく考えられたインスタレーションで、作品化の手際も申し分ないのだが、どこか既視感を覚えるのは否めない。物体をランダムに配置して、デジタル変換を加えて味付けしていく「テーブル・マジック」的なアプローチが、すでにありふれたものになってきているということだろう。ここからもう一歩作業を進めていくための、具体的かつ必然性のあるアイデアがほしいところだ。なお、本展は菊田樹子がキュレーションする連続展「写真/空間」の2回目の展示だった。「写真の内と外に立ち現れる空間について考える」というコンセプトが、偶然ではあるが、ごく近い会場で開催中の「鏡と穴──彫刻と写真の界面」展と共通していたのが興味深かった。

2017/06/16(金)(飯沢耕太郎)

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