2018年07月15日号
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artscapeレビュー

オープンスタジオ2017

2017年07月15日号

会期:2017/06/09~2017/06/18

BankART Studio NYK[神奈川県]

BankARTの2、3階のほぼ全フロアをアーティストに貸し出すレジデンス・プログラム。今年は長期滞在アーティストも含めて計45組が参加、その成果発表が行なわれている。片岡純也+岩竹理恵は昨年もトボケた作品をつくってうならせてくれたが、今年も多彩な作品を見せてくれた。なかでも、浮世絵(春画)から使用済みの丸めたチリ紙の画像をピックアップして並べた作品が出色。なにが出てくるかわからないところが期待できる。
山田哲平はスピーカーを10台ほど下向きに吊り下げ、そこからたくさんの赤い糸を垂らし、中央に聴診器を置いている。中心に立って聴診器を胸に当てると、心臓の鼓動が増幅されてスピーカーから鳴り、赤い糸をリズミックに揺らす。赤い糸はまるで血流のようだ。これはよくできている。その隣の丸山純子は、コンビニ袋で花をつくったりプラスチックを溶かしたり石鹸を固めたり、いろいろやってきたが、最近は「の」の字型の渦巻きを紙にびっしり埋め尽くしていくドローイングを制作。なんだか草間彌生か真島直子に近づいてるようで怖い。
関川航平は壁いっぱいに文章を書いた紙を貼りつけていた。たしか、文字を書きながらその時々に思ったこと見たことなども書き連ねていく、というようなコンセプトだったと思う。単線的な文章=時間の進行を複線化する試みと理解したが、あまり読む気になれないし、読んでもおもしろくない。でもなにか表現することのためらいや恥じらいを感じさせる。陳亭君と鈴木紗也香はそれぞれ2階と3階にブースを借りて絵を描いていたが、画風こそ違えど、図らずも画中画のある室内風景をモチーフにしているところは同じ。どちらもアラサーと年齢も近く、各地でレジデンス経験を積んでいることも共通している。こんなことってあるんだ。

2017/06/09(金)(村田真)

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