artscapeレビュー

あゝ新宿 アングラ×ストリート×ジャズ展

2017年07月15日号

会期:2017/06/03~2017/07/02

新宿高野本店ビル6階[東京都]

新宿高野といえば、タカノフルーツパーラーを擁する老舗の果物専門店だが、会場となった6階は美術館でもギャラリーでもない単なる空きフロアらしく、安普請の仮設壁が展示内容にマッチしている。同展は、60-70年代の新宿を舞台にしたアングラ劇場やストリート文化を捉えた井出情児の写真を中心に、演劇のポスターやチラシも展示。新宿花園神社に赤テントを張った唐十郎率いる状況劇場、清水邦夫と蜷川幸雄の現代人劇場、鈴木忠志の早稲田小劇場、寺山修司率いる天井桟敷。ピットインの山下洋輔、横尾忠則の姿もある。演劇が多いのは、早稲田大学演劇博物館の主催だからだ。できたばかりの新宿西口広場に集う若者を捉えた写真もある。そんな若者たちを排除するため、姑息なオトナたちは「広場」を「通路」と呼び変えて、立ち止まったりたむろしたりすることを禁じてしまった。右と左、敵と味方、オトナと若者といったように社会がいまよりわかりやすかった時代だ。かろうじてぼくも知ってる新宿のなつかしい表情に出会えた。

2017/06/08(木)(村田真)

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