artscapeレビュー

《とおり町Street Garden》《Peanuts》《森×hako》

2017年07月15日号

[広島県]

前田圭介の案内で地元で手がけたプロジェクトをまわる。まず、《とおり町Street Garden》へ。商店街をまとめながら、電力会社と粘り強く交渉し、5年をかけて実現したもの。老朽化したアーケードを外し、鉄柱をいかしてステンレスワイヤーを垂らす。こうして商店街が明るい場所に変更した。足元に緑が点在するのも魅力的である。続いて訪れた《Peanuts》は、保育園の奥に増築された乳児保育施設だった。名前のとおり、ピーナツ状の輪郭にガラスをめぐらせるが、水平に走る木製のフレームが日射や視線を遮ったり、棚になったりする。ランドスケープと続く内外が曖昧になった内周部の扱いは、《後山山荘》の新しい縁側空間にも通じる。最後は彼の事務所も入る《森×hako》へ。道路側の看板を兼ねる自転車置き場が植栽に覆われて凄いことになっていた。1階は歯医者が入り、スリット状に中庭を挿入し、多孔的な空間のため、奥の個別診察室も明るい。階段を上って事務所へ。開口のフレームと木々が交互に続く眺めは不思議な奥行き感を出す。

写真:左上=《とおり町Street Garden》 左下2枚=《Peanuts》 右上2枚=《森×hako》 右下=前田事務所

2017/06/26(日)(五十嵐太郎)

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