artscapeレビュー

マーライオンほか

2017年07月15日号

[シンガポール]

前回は馬鹿にして、遠景のみで見たマーライオン。今回は近づいたが、観光客がこれだけ一生懸命に記念写真を撮る屋外彫刻はめずらしい。カッコいいアートではおそらく無理で、首相の発案により設置されたキッチュな造形がもつ集客効果に感心させられた。しかもマーライオンは、マリーナ・ベイ沿いに増殖するアイコン建築と相乗効果を起こしている。例えば、対岸にはマリーナ・ベイ・サンズのほかに、フローティング・ステージや、ホールと劇場を対にしたエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ、観覧車などが並ぶ。歩行者専用のジュビリーブリッジや桟橋も、マーライオンへのアクセスや撮影の場を確保するためにつくられており、ウォーターフロントの土木デザインにも影響を及ぼす。

写真:左上から=マーライオンとマリーナ・ベイ・サンズ、海辺のステージ 右上から=エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ、ジュビリーブリッジ

2017/06/11(日)(五十嵐太郎)

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