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熊本地震、木造仮設住宅

2017年08月01日号

[熊本県]

熊本へ。空港の近くで被災が甚大だった益城町のエリアは1年以上が過ぎ、激しく壊れた建物はもうあまり目につかなくなっているが、不自然なくらい真新しい道路、地盤や塀の破壊、使用停止になった庁舎、体育館、運動施設、そしておそらく大破し、住宅が除去された空き地などが、地震の記憶を想起させる。やはりプレハブの仮設が多いなか、ここでもいち早く間仕切りを避難所に設営していた坂茂による御船町の木造仮設住宅は、小さなコミュニティの場を中央に挟み、建築としても質が高い。ただし、これは例外的な試みとなっており、これがもっとシステム化され、社会で運用されるとよいのだが。

写真:上3枚=坂茂による木造仮設住宅 左下=破壊された地盤 右下=使用停止になった庁舎

2017/07/15(土)(五十嵐太郎)

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