2018年10月15日号
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artscapeレビュー

札幌国際芸術際2017 その2

2017年09月15日号

[北海道]

すすきの北専プラザ佐野ビルは、雑居ビルの5階と地下で展示を行なう。端聡はあいちトリエンナーレ2016と同じく循環系のインスタレーションも出品していたが、光の様態が変化するグレードアップ・バージョンだった。なお、この展示環境を実現するため、天井に相当数のスプリンクラーが新設されていたことにも驚かされた。地下は場の特性を生かし、怪しげな展示の四連発である(まだ営業しているお店も残っており、それをあいだに挟んでいた)。特に印象に残ったのは、キャバクラの内装を残した空間に設置された山川冬樹による福島の映像作品である。本人が山口小夜子のお面をつけて廃墟を歩くのだが、猿が能面をかぶって福島の廃墟を歩く、ピエール・ユイグの映像作品『ヒューマン・マスク』を想起させるだろう。今回のサブテーマが「ガラクタの星座たち」とあるように、レトロスペース坂会館別館、居酒屋てっちゃん、北海道秘宝館の展示は、サブカル・コレクションだった。その結果、横浜トリエンナーレのハイアートによるガラパゴスの星座と好対照をなす(言葉はかぶるが)。なお、春子の部屋の天井内装も凄い。中国風の格天井の下に、45度回転させた格天井を重ねている。シャッターが定期的に上下するAGS6・3ビルでは、建築空間に絡んでいく堀尾寛大の自動機械インスタレーションを挿入する。ただし、地下は調子が悪く、暗闇の中でバチバチと発光しなかった。数年間空きビルだったせいか、外壁を見上げると窓辺に大量の鳩がいつも安心してとまっているのが(実際、入口に鳩の糞注意という表記あり)、とても不気味な風景だった。札幌地下ギャラリー500m美術館の中崎透「シュプールを追いかけて」は、青森のACACで見たスキー展示の延長戦的なものだった。そして資料のリサーチを経て、札幌の冬季オリンピックの記録やスキー用具の変遷を紹介する。やはり本物の歴史は面白い。それにしても、よくオリジナルを公共空間の展示に持ち出せたと感心した。

写真:左上=すすきの北専プラザ佐野ビル 左下=端聡 右=レトロスペース坂会館別館

2017/08/15(火)(五十嵐太郎)

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