artscapeレビュー

《広州図書館》

2017年09月15日号

[中国・広州市]

巨大な《広州図書館》は、日建設計が関与したもの。乱石積の湾曲した外観、渓谷を切り裂いたような吹抜け、上部で2棟をつなぐブリッジ群など、思い切り目立つデザインだ。そして人の動きを表出するダイナミックな空間である。各フロアとも熱心に本を読む大勢の人でにぎわう。ただ、図書スペースそのもののデザインは、さほど特筆すべきものではなかったザハ・ハディドによる広州大劇院のホール内は見学できなかったが、ホワイエはガラス空間なので、のぞき込むとある程度、雰囲気はわかる。流動的な造形は彼女ならではだが、施工はかなり粗い。以前、テラーニの建築を見にコモを訪れたら、周囲の集合住宅も高水準のデザインで驚いたが、ここはザハがさほど浮いて見えないくらい、まわりの建築群もど派手だった。

写真:上2枚=《広州図書館》 下4枚=《広州大劇院》

2017/08/08(火)(五十嵐太郎)

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