artscapeレビュー

《駅前広場コフフン》

2017年09月15日号

[奈良県]

約10年ぶりの天理へ。新宗教建築研究で何度も足を運んだ都市だが、まさか現代建築を目的に再訪するとは思わなかった。nendoによる《駅前広場コフフン》が登場したからである。同心円の組み合わせだけの単純な造形であり、下手をすると学部のスタディで怒られそうなプランだが、いやいやアクティビティを引き出すことに大成功のデザインだった。久しぶりに、神殿へと続くアーケード街を歩く。シャッター商店街にならず、昭和的な店舗がよく残っている貴重な場所を維持できているのは、おそらく宗教の参道になっているからだ。とはいえ、それでも少し空き地が増えたような感じがする。背後を隠しつつ、小さな公共空間を設けるなど、空き地を感じさせない工夫をしていたが。

写真:右下=天理本通り商店街 ほかすべて=《駅前広場コフフン》

2017/07/23(日)(五十嵐太郎)

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