2018年10月15日号
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artscapeレビュー

プレビュー:KOBE - Asia Contemporary Dance Festival #4 家族の系譜

2017年10月15日号

会期:2017/11/03~2017/11/25

ArtTheater dB KOBE、旧K邸、駒ヶ林会館、ふたば学舎 講堂[兵庫県]

第4回目を迎える舞台芸術祭「KOBE-Asia Contemporary Dance Festival」(通称「アジコン」)。「家族の系譜」をテーマに、日本、インドネシア、ヴェトナムのアーティスト計13組が参加する。主催のNPO法人DANCE BOXの拠点である神戸の新長田は、在日コリアンやヴェトナム移民などの住民が多く、下町の雰囲気と「マルチ・エスニック・タウン」の性格が混在する町。人の移動の背景にある、文化的ルーツとその変容、家族の系譜、歌や踊りのなかに身体化された記憶といったトピックスに焦点を当てたプログラム構成となっている。
インドネシア・パプア地方出身のジェコ・シオンポは、動物から着想を得た動きとヒップホップを混ぜ合わせた「アニマル・ポップ」というスタイルで知られる。滞在制作で結成した「アニマル・ポップ・ファミリー・コウベ」が劇場から町中へと繰り出し、祝祭的な空間を出現させる。アジア諸国の舞台芸術関係者が集う集合体「アジア女性舞台芸術会議実行委員会」からは、祖母の洗骨の儀式を記録したヴェトナム在住のグェン・チン・ティの映像作品と、矢内原美邦が在日ヴェトナム人の女性たちの声を拾い集めて描いた戯曲が上演される。また、新長田で暮らす多様な人々による民謡や踊りの現場へ赴き、身体が記憶している所作や風習のありようを探るプロジェクト「新長田ダンス事情」では、演出家の筒井潤が新作を発表する。
「家族」および既成の概念への問い直しという面では、ダムタイプ『S/N』のヴィデオ・ドキュメンタリー上映、結成20周年を迎える男女のデュエット、セレノグラフィカが古民家で静かに紡ぐ男女の時間、ダンサーで振付家の余越保子による映像展示とパフォーマンスがある。余越は、4名のアーティストが瀬戸内海の島でともに暮らしながら撮影した映画と、その映画をテクスト化したライブパフォーマンスを発表。また、黒沢美香と両親の記念碑的ダンス公演『まだ踊る』の舞台裏を追ったドキュメンタリーを展示し、戦後の現代舞踊界を牽引し続けたダンスファミリーの軌跡を提示する。
芸術祭の期間中は、子どもたちを恐怖に陥れた目黑大路の「妖怪ショー」がアジアの妖怪を新たに加えて上演。また、近年、ダンスの継承の現場における「師匠とダンサーとのやり取り」を時にユーモラスにメタ化して提示している山下残は、アルゼンチン、イスラエル、オーストラリア、トーゴ、日本からなる国内ダンス留学@神戸 六期生が出演する新作を発表する。
会場は、ブラックボックスの劇場空間であるArtTheater dB KOBEに加え、古民家や商店街の中でも行なわれる。約1カ月の開催期間を通して、身体表現を介して新長田という場所の多層性に触れる機会ともなるだろう。

公式サイト:https://kacdf2017.wixsite.com/2017

2017/09/30(土)(高嶋慈)

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