2017年11月15日号
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artscapeレビュー

クラクフ旧市街、新市街、クラクフ郊外通り

2017年11月01日号

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[ポーランド、クラクフ]

旧市街、新市街、クラクフ郊外通りを歩く。奇跡的に戦火を免れた建築もあるが、ほとんどが1950年代から復元された街並みである。空襲を受けた東京のような木造の都市が何もない焦土と化すのとは違い、組積の壁は残っていたが、とはいえ、これだけ広大な範囲でよく実現したと感心させられる。街並みを復元する際は、王宮に残されていたカナレットが描いた精密な都市風景画も役立ったらしい。現在、通りにはカナレットの複製画が設置され、現実の風景と比較できるようになっている。なお、ポーランドの古建築の意匠も興味深い。中世系のデザインはどこかかわいらしい。また古典主義系は、柱がやや太いのに、全体としては垂直に引きのばした感じで、妙なバランスである。これはイタリアの古典やフランスの教会を基準としたときの判断だが、中国と韓国を比較した場合、やはり同じ様式であっても、地域によるズレが起きるのは興味深い。旧市街広場に面するワルシャワ歴史博物館は、展示のリニューアル中であり、何々~を展示予定と書かれた札だけが立つ、空っぽの部屋だらけの不思議な体験だった。なお、これも復元した建築を数棟つないでつくられたため、迷宮レベルに複雑なリノベーションの空間をもつ。内部に入ると、さまざまな高さから広場を見ることもできる。

写真:左上から、復元された旧市街、破壊された広場模型、カナレットの風景画 右上から、古典主義建築、《ワルシャワ大劇場》、復元された新市街の広場、、クラクフ郊外通り

2017/09/13(水)(五十嵐太郎)

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