2017年12月15日号
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artscapeレビュー

若手芸術家支援企画 1floor2017 合目的的不毛論

2017年12月01日号

会期:2017/11/18~2017/12/10

神戸アートビレッジセンター[兵庫県]

「1floor」とは神戸アートビレッジセンターが2008年から行なっている公募展で、30歳未満の作家を対象とする若手支援企画だ。同センターの1階に向き合う「KAVCギャラリー」とコミュニティルームの「1room」をひとつの空間とみなし、展覧会プランを作家自身がつくり上げる点に特徴がある。10回目となる今回は大前春菜、菊池和晃、澤田華が選ばれた。個々の作風を説明すると、大前は肉体の皺やたるみを感じる彫刻をつくる作家。菊池は身体表現を用いることが多く、社会と対峙する作品や美術史を参照した作品を制作している。澤田は写真に写りこんだあいまいな図像やノイズをモチーフに、綿密な調査と意図的な誤読を繰り返して考察する過程そのものを作品にしている。このように作風が異なる3人がひとつの展覧会をどのようにつくり上げるのか、そこに本展の面白さがあった。では実際の展覧会はどうだったのかというと、3人がそれぞれの世界を構築しつつ、それでいて一体感も感じられるバランスの良い展覧会に仕上がっていた。最初に「合目的的不毛論」というキーワードを導き出せたのが勝因だろうか。じつは筆者は今回の「1floor」で審査員のひとりを務めており、作風がそれぞれ異なる3人を選出したことに期待と不安を抱いていた。彼らがこちらの期待を上回ってくれたことに、素直に感謝したい。


上=澤田華の作品、下=左から大前春菜、菊池和晃の作品

2017/11/18(土)(小吹隆文)

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