2018年10月15日号
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artscapeレビュー

木村松本建築設計事務所《house A / shop B》/小松一平《あやめ池の家》/畑友洋《舞多聞の家》

2017年12月15日号

[京都府、奈良県、兵庫県]

日本建築設計学会では、若い世代に希望と勇気を与える賞を目指して、2年に1度、公募によって学会賞を決定する。2016年の第1回は、島田陽が設計した石切の住居が選ばれた。特徴的なのは、東日本と西日本からそれぞれ2名の選考委員が用意され、自分が居住しないエリアの作品の現地審査を行なうことだ。すなわち、筆者の場合は、普段あまり会わない西日本の建築家の作品を見学する。そこで11月12日に関西でまとめて3つの住宅をまわった。木村松本建築設計事務所の《house A / shop B》は、いかにも京都らしい間口3.8m×奥行き14m弱の細長い敷地である。が、さらにそれを身廊と側廊(片側のみ)のように細分化し、5mの天井高の非住宅的なプロポーションの空間を生む。これは木造軸組とラーメン構造の組み合わせから導く形式だという。プログラムは下部の道路側が金物屋、奥がカフェ、上部が住宅であり、京都の現代的な町屋を提案している。

続いて訪れた小松一平の《あやめ池の家》は、奈良・西大寺のオールド・ニュータウンであり、実家の建替えだった。U-30展に彼が出品したときは、傾斜地の擁壁を崩して建築化するアイデアが印象的だったが、現地ではスラブを積層し、フロアごとに斜めの方角を切り替えながら、大胆に開放しつつ眺望を楽しむ空間だ。また住宅地においてまわりの家の視線も巧みにかわす。最後は神戸で、ピカピカの真新しいニュータウンに建つ畑友洋による《舞多聞の家》を見学した。傾斜地に建ち、道路側は窓なしだが、下の森林に向かって全面ガラスの直方体が飛び込む。周囲の建売住宅群が嘘のような自然を享受する家である。室内はあちこちにハンモックなども吊る。前回の設計学会賞の審査で見学した彼の《元斜面の家》が依頼のきっかけだったらしい。いずれも若手建築家による意欲的な住宅作品であり、それぞれの場所性を巧みに読み込み、空間化していることに好感をもった。


木村松本建築設計事務所《house A / shop B》


小松一平《あやめ池の家》


畑友洋《舞多聞の家》

2017/11/12(日)(五十嵐太郎)

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