2018年10月15日号
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artscapeレビュー

東北大学五十嵐研究室ゼミ合宿+原発被災地リサーチ

2018年01月15日号

[福島県]

12月16日と17日の両日、五十嵐研のゼミ合宿を兼ねて、原発事故によって避難指示の対象となった被災地のリサーチを実施した。まず最初に常磐線の木戸駅に近い、楢葉町の住宅と連結する小料理屋「結のはじまり」にてヒアリングを行なう。ここを営むのが、福島の阿部直人の建築事務所から転職した古谷かおりである。また、ならはみらいの西崎芽衣は、京都で社会学を学び、卒業してすぐにここに移住し、空き屋バンクなどの事業を動かしている。続いて、緑川英樹が手がける《木戸の交民家》を見学した。築70年ほどの古民家を再生・活用する活動で、地域コミュニティの交流や米づくりなどにも挑戦している。いずれも3.11がなければ、このエリアと関係なかった若い人が参入し、新しい街づくりにかかわっているのは頼もしい。駅の周囲は入母屋の住宅が並び、個性的な街並みの景観がある。ただ、駅前は急ごしらえの安普請のホテルがもうすぐオープンする予定だった。

川内村では、2016年にオープンした村内唯一のCafe Amazonを訪れた。これが東京ならば、なんの違和感もないが、周りにはお店らしいお店がほとんどなく、つぶれたガソリンスタンドの向かいにぽつんとカフェがある。そこで、なぜこの場所にタイのチェーン店の日本第1号店のカフェができたのか、マネージャーに話をうかがう。東日本大震災のあと、コドモエナジー社が復興支援で、川内村に工場をつくったことがきっかけらしい。また焼き肉店をリノベーションした店舗が、隈研吾風のルーバー改修だなと思ったら、やはり福島の木材利用で両者の関係があることも判明した(正確には内外装は隈事務所ではないが)。なお、ここの女性マネージャーも、タイで20年ほど暮らしてから、いきなり川内村にやってきたという。そしてカフェの存在が、タイと日本の文化交流にも貢献しているようだ。やはり、3.11が縁となって、外部から新しい風が入っているのは興味深い。

2017/12/16(土)・17(日)(五十嵐太郎)

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