2018年04月15日号
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artscapeレビュー

石内都 肌理と写真

2018年02月01日号

会期:2017/12/09~2018/03/04

横浜美術館[神奈川県]

石内都の写真はシリーズごとには何度も見たことがあるけど、まとめて見る機会はなかった。こうして初期から通して見て初めて「なるほど」と納得した。展示は横浜のアパートを撮ったシリーズから始まるが、しばらく見ていくと塗装のはげた壁や床を執拗なまでに撮っている写真に出くわし、ここでひとり合点したのだった。それは石内が、人であれ建物であれ年季の入ったものの表面に関心がある、というより、そのテクスチュアにフェティッシュな欲望を感じているんじゃないかということだ。例えば、はがれそうな塗装とかはがれそうな皮膚とか見ると、はがさずにはいられないような皮膚感覚。それが彼女の写真を貫く美学なのだと勝手に理解したのだった。大野一雄のしわくちゃの肌を撮った《1906 to the skin》も、女性の傷跡ばかり追った《Innocence》も、母の遺品を記録した《Mother’s》も、被爆者の衣類を写した《ひろしま》も、絹の着物を追った《絹の夢》も《幼き衣へ》も《阿波人形浄瑠璃》も、すべて皮膚および、皮膚に触れる衣のテクスチュア(テキスタイルと同じ語源)を印画紙に定着させたものにほかならない。そういえば、石内は多摩美の染織(テキスタイル)専攻だった。

2017/12/22(金)(村田真)

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