2018年12月01日号
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artscapeレビュー

ジャネット・カーディフ & ジョージ・ビュレス・ミラー

2018年02月01日号

会期:2017/11/25~2018/03/11

金沢21世紀美術館[石川県]

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーの作品は、ドクメンタやミュンスター、越後妻有、札幌などの国際展で何度か見たことあるけど、大規模な個展を見るのは初めて。最初の部屋には修道院の模型が置かれ、なかをのぞくと、どこかで見たような情景がミニチュア模型で再現されている。《アントネロとの対話》と題されているので、15世紀の画家アントネロ・ダ・メッシーナの油彩画《書斎の聖ヒエロニムス》だとわかる。よくできているけど、これだけだったら単に絵画を立体化したトリックアートと変わらない。しばらく見ていると照明や音が少しずつ変化していき、朝から夜まで1日の時の流れを再現しようとしていることに気づく。つまり2次元の絵画が3次元に立体化され、さらに時間を加えて4次元化しているのだ。これはおもしろい。

ほかにもレコードとスピーカーで埋まった部屋、不気味な音と光を発して回るメリーゴーランド、引出しを引くと異なる音が出る棚、たくさんの操り人形を乗せたキャンピングカーなど、ほとんどの作品は箱状の装置が各展示室の中央に1点ずつ置かれ、その周囲を観客が囲んで見るという仕組み。いずれも音や光を発したり動いたりしながら、それぞれレトロ調の物語を紡いでいく。ちなみに、操り人形やメリーゴーランドというのは子供が楽しむ遊びだが、それが静止していると寂しさや不気味さを感じ、勝手に動いたりすると恐怖の対象にすらなる。そんな楽しさと恐ろしさを同時に秘めたエモい作品群。ああ見てよかった。

2017/12/16(土)(村田真)

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