2018年09月15日号
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artscapeレビュー

真島直子 地ごく楽

2018年04月15日号

会期:2018/03/03~2018/04/15

名古屋市美術館[愛知県]

ぼくが真島直子の作品を知ったのは(たぶん真島本人を知ったのも)、80年代終わりにアートフォーラム谷中で工藤哲巳とコラボレーションをやっていたころだと思う。でも年譜を見たら70年代末から村松画廊やコバヤシ画廊で発表しているので、それ以前にも見ていた(会っていた)かもしれない。ともあれそのころは工藤に同調するかのようなドロドロとしたオブジェをつくっていたように記憶する。本格的に制作に打ち込むのは工藤の死後、90年代に入ってからで、出品作品の大半もそれ以降の作品だが、やっぱり内臓か寄生虫を思わせる、本人いわくニュルニュルニョロニョロしたオブジェだった。

そのニュルニュルニョロニョロを鉛筆で描いたドローイングを発表するのが90年代末からで、これはスゴイと思った。樹木のような、細胞のような、精子のような、とにかく大きな画面いっぱいにびっしり描かれた濃密な鉛筆画には中心も階層もなく、ただなにかがうごめいているだけ。このシリーズは多くの人の共感を得たようで、2002年のバングラデシュ・アジア・ビエンナーレではグランプリを受賞している。ただその後も鉛筆画と並行してボロボロの死体みたいなグロテスクな立体や、ドローイングのカラー版みたいな油彩も制作しているが、単色の平面である鉛筆画のほうがストレートに共振してくる。これに対抗できるものがあるとすれば、草間彌生の初期作品くらいだろう。そういえば、親の反対にもかかわらず強引に美術の世界に進んだところなども、草間を思い出させる。

2018/03/16(村田真)

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