2018年04月15日号
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県美プレミアム Back to 1918:10年ひとむかしと人は言う

2018年04月15日号

会期:2018/03/17~2018/06/24

兵庫県立美術館[兵庫県]

10年前の2008年から、1998年、1988年と10年ごとにさかのぼり、1918年までの各年に関連する作品を並べたコレクション展。2008年は森村泰昌、ヤノベケンジら、1998年は高松次郎(没年)、1988年は植松奎二、柄澤齋ら、1978年は荒川修作、横尾忠則ら、1968年はデュシャン、磯辺行久ら、といった具合。作品は必ずしもその年につくられたものばかりではないけれど、どれも時代を感じさせる選択となっている。まあこんなことはコレクションが豊富でないとできないこと。

サーッと流しながら、ふと足が止まったのは1938年の阿部合成による《見送る人々》。出征する兵士を見送っているのだろうか、題名どおり見送る人々の顔が日の丸とともに画面いっぱいに描かれていて、なぜかとてもよく目立つ。もうひとつ足を止めたのが、1918年の岡本唐貴の《『自伝的回想画』》より《十五歳の少年が見た米騒動の印象》という作品。1918年といえばまだ大正時代なのに、これだけやけにモダンな絵だなと思ったら、岡本が15歳のときに目撃した米騒動の記憶を、80歳近くになって思い出しながら描いた1982年の作品だという。これはなかなか示唆的だ。どんな人間だろうと死ぬ前に1枚でもいいから昔の記憶を絵に残したら、とんでもなく貴重な財産になるに違いない。

2018/03/31(村田真)

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