2018年10月15日号
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artscapeレビュー

梁丞佑「人」

2018年05月15日号

会期:2018/04/16~2018/06/10

写大ギャラリー[東京都]

昨年「新宿迷子」で第36回土門拳賞を受賞した梁丞佑(ヤン・スンウー)は、1996年に韓国から来日し、2000~06年に東京工芸大学芸術学部写真学科、および同大学大学院で学んだ。今回、母校の写大ギャラリーで開催された個展には、在学中に同大学の在校生、卒業生(卒業後12年以内)を対象とするフォックス・タルボット賞を受賞した「無国籍地帯」(1998~2000)と、その後撮り続けてきた「人」(2002~2017)のシリーズから、計69点が出品されていた。

新宿・歌舞伎町界隈にカメラを向けた「無国籍地帯」、横浜のドヤ街、寿町の住人たちを粘り強く撮影した「人」の両方とも、いまや古風とすら言える直球勝負の路上スナップ写真である。モノクロームへのこだわりも徹底している。だが、けっして古臭い感じがしないのは、梁の眼差しが人や街の生命力の根源に真っ直ぐに向けられ、その本質をしっかりと掴み取っているからだろう。傷、空洞、ささくれが目につく光景を写し取っていくアプローチにまったく迷いがないことが、写真から気持ちよく伝わってくる。

香港出身のERICもそうなのだが、アジア出身で、日本で活動する写真家たちのほうが、日本社会の光と闇を丸ごと鷲づかみにするような作風を身につけているのは驚くべきことだ。だが逆に日本の写真家たちのなかにも、これくらいの厚みと強度のある路上スナップの撮り手があらわれてきてほしいものだ。

2018/04/30(月)(飯沢耕太郎)

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