2018年10月15日号
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artscapeレビュー

松山賢個展 絵の具・文様・野焼き・人物

2018年06月01日号

会期:2018/04/06~2018/04/22

アートコンプレックス・センター[東京都]

ギャラリーとしてはかなり大きめのスペースに、美少女、昆虫、ロウソクの焔、縄文、絵の具、惑星など松山の主要なシリーズから未発表作品を中心に、200点以上を出品。棚には縄文土器や古代彫刻のミニチュアを100点くらい並べ、展示即売している。ミニカーのシリーズを除き、どれも絵心をくすぐる作品ばかり。いわゆるツボにはまるってやつ。この「ツボにはまる」状態を説明するのは難しいが、あえて言語化してみると、そもそも個人的に好きな作品と芸術的に評価する作品とは必ずしも一致せず、多少の乖離があるもので、その乖離につけ込んでズカズカと核心に迫ってくるのが彼の作品なのだ、といえるかもしれない。つまり趣味と芸術の交差点に侵入してくる、そんな感じだ。

今回初めて見るのは「絵の具の絵」シリーズを立体化した「絵の具の絵の絵の具箱」。立方体の箱の一面に「絵の具の絵」が描かれ、その裏側(箱の内部)にホンモノの絵の具皿が入ってるものもあり、現実と絵画、物体とイメージを隣り合わせている。いちばん奥の暗い部屋で上映している映像も初めて見た。壁に花柄の黒いレースを張り、その上に女性ヌードの映像を映しているのだが、ヌードが徐々にぼやけて見えにくくなっていく。どうやら女性ヌードの映像をこのレースを張った壁の前に映し出してもういちど撮影し、それを再び壁に映し出して撮影し……を繰り返したものらしい。タイトルが《フローラ》と聞いて、ああそうかと思った。ボッティチェリの《春(プリマヴェーラ)》では、ゼフュロスに抱かれたニンフのクロリスが花の神フローラに変身するが、そのフローラはたしかに花柄のレースをまとっているのだ。こういう美術史ネタもくすぐられるなあ。

2018/04/18(村田真)

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