2018年12月01日号
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artscapeレビュー

プレビュー:ミュンヘン・カンマーシュピーレ『NŌ THEATER』

2018年06月15日号

会期:2018/07/06~2018/07/08

ロームシアター京都 サウスホール[京都府]

ドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレにて、日本人演出家として初めてレパートリー作品の演出を務めた岡田利規(チェルフィッチュ主宰)。昨年2月に発表された『NŌ THEATER』がロームシアター京都にて上演される。タイトルに「NŌ(能)」とあるように、「能」という演劇形式の可能性を現代演劇として追求した本作は、「六本木」と「都庁前」という2つの演目と、間に挟まれる狂言「ガートルード」から構成される。「六本木」では、現代における「罪深いもの」として「金融」に焦点が当てられ、「都庁前」は、岡田によれば「フェミニズムの能」であるという。

『地面と床』(2013)、『部屋に流れる時間の旅』(2016)といった東日本大震災後に発表したチェルフィッチュ作品で岡田は、「幽霊」の存在を通して、日本社会の構造的歪みや他者との断絶感を鋭く可視化してきた。「幽霊」が主人公として登場する本作も、この系譜上に位置づけられるものであると同時に、現代日本を舞台とした演劇を「ドイツ人俳優がドイツ語で演じ、字幕を通して観劇する」という迂回路をとることで、日本社会を相対化する視座を与えてくれるのではないだろうか。なお本作の国内公演は、京都のみとなっている。

2018/05/31(木)(高嶋慈)

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