2018年12月01日号
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artscapeレビュー

MONSTER Exhibition 2018

2018年08月01日号

会期:2018/07/21~2018/07/25

渋谷ヒカリエ8/COURT[東京都]

渋谷のヒカリエにて、毎年恒例の「MONSTER Exhibition 2018」のオープニングに足を運んだ。筆者は公募の審査を担当しているが、今年は62組の作品が展示され、クオリティが高い技巧派も増え、賑やかな会場だった。なお、ほかの公募に比べると、怪獣を共通テーマとしながらも、アートとデザインが混ざっていることが大きな特徴である。建築家を含むユニットも2組入選していた。怪獣の足跡にどのような風景を生まれるかを模型で表現したirikichi.と、都市の皮膜をコロコロ(粘着クリーナー)で採取する加治茉侑子/佐藤康平である。いずれもアイデアは面白いが、アート作品そのものが並ぶ会場に置かれると、展示物としてはやや弱かった。一次審査のとき、黄色マニアのイラストレーター、kyo→koはかなりインパクトをもっていたが、会場のドローイングは思いの外おとなしく(作家のほうが強烈)、もっと大きなサイズで徹底的に黄色を使っていれば、良かったかもしれない。

やはり建築だけでなく、写真やイラスト系では、実空間における展示で見ると、アート比べて弱さが生じてしまう。さて、一般を含む投票で決まる最優秀賞は、サイコロ・アートの高島亮三だった。これはコンセプチュアルな作品だが、大量の本物のサイコロを使うことで、モノとしての強度も兼ね備えていた。今回、会場を4周して、個人的に強い印象を受けたのが、おねしょの記憶を引きずる川平遼佑のパンツ絵画であり、作家の切実さを感じる作品だった。懇親会でも、各作家の講評は続いた。昨年は凄いドラゴン女子(中日ではなく、竜が大好き)に感心させられたが、今年は1年かけて国立の銭湯の軒先の生きた木の幹に直接、高さ7mの仏像を彫った仏師、西除暗の作品に驚く。今回の出品作ではなかったので、写真を見せてもらうと、仏像の頭の上から木が生えているようだ。美大卒でないが、あるとき仏像に開眼し、彫るようになったという。現代の円空である。こうした思わぬ逸材に出会えるのが、MONSTER Exhibitionの楽しみだ。

会場風景


高島亮三


川平遼佑(左)、西除暗(右)


2018/07/20(金)(五十嵐太郎)

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