七菜乃「My Aesthetic Feeling 2018」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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七菜乃「My Aesthetic Feeling 2018」

2018年08月01日号

会期:2018/06/29~2018/07/15

神保町画廊[東京都]

モデルの七菜乃は、2015年頃から自作の写真を撮影・発表するようになった。最初は「自撮り」が中心だったのだが、2016年頃からはSNSでモデルを募集して「集団ヌード」の撮影を試みるようになる。東京・神田の神保町画廊での個展は、今回で4回目なのだが、前回の「My Aesthetic Feeling」(2017)あたりから、その「集団ヌード」の面白さが際立ってきた。

今年4月に都内のスタジオで行なわれた撮影では、これまでで最多の24人のモデルたちが集まったという。募集の条件は「20歳以上の女体をお持ちの方」ということで、最年長は41歳だった。女性たちは明るい日差しが差し込む空間で、リラックスした雰囲気でポーズを取っている。それぞれの個性的な「からだ」の表情が、これだけの多人数になるとむしろひとつに溶け合って、精妙なハーモニーを奏でるようになる。どちらかといえば全体的に控えめな、穏やかな雰囲気を醸し出しているのは、モデルが日本人だからかもしれない。自己主張の強い西洋人の「からだ」だと、こうはいかないのではないだろうか。レンズに布を被せて画面をソフトフォーカスにしたり、手袋、林檎などの小道具使ったりする演出もうまく効いていた。

この「集団ヌード」は、もっとさまざまなシチュエーションでの撮影が考えられそうだ。また「20歳以上の女体をお持ちの方」という条件の設定も、より幅を持たせてもいいかもしれない。むろん作者の「Aesthetic Feeling」を尊重しなければならないが、特に「20歳以上の女体」に限定する必要もないのではないだろうか。異質な要素を取り込めば、さらなる可能性が開けてきそうな気もする。

2018/06/28(木)(飯沢耕太郎)

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