2018年10月15日号
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artscapeレビュー

アートアワードトーキョー丸の内 2018

2018年09月15日号

会期:2018/09/07~2018/09/24

御行地下ギャラリーほか[東京都]

全国の美大・芸大の卒業・修了制作展から選抜した作品展。

出品は25人で、作品は丸の内のオフィス街の何カ所かに分散しているが、行幸地下ギャラリーと新丸ビル3階アトリウムに計21人と集中しているので、その2カ所だけ見た。行幸地下ギャラリーは長い通路の両脇にあるウィンドーの内部が展示場所で、1人10メートルほどスペースが与えられている。そのため相当の力量がなければ空間を支配できず、なかにはウィンドーディスプレイにしか見えない、いやディスプレイにすら見えない作品もあった。そんななかでいくつか目に止まった作品を見た順に挙げてみたい。

まず川田龍(東京藝大院)のペインティング。一見ミヒャエル・ボレマンス風の筆づかいで人物や静物を描いている。ボレマンスと違い大画面でツユだくの滴りが蠱惑的。水戸部春菜(東北芸工大)は幅7メートル近い画面にバレエの動きを連続写真のように描いている。伸びやかで見ごたえがあり、洞窟壁画からデュシャンの《階段を降りる裸婦》まで連想させるが、黒い輪郭線だけなので色気に欠けるなあ。持田敦子(東京藝大)は空家の床を直径5メートルほど円形に切れ目を入れ、回転木馬のように手動で動かすという壮大なプロジェクトを紹介。もちろん実物ではなく映像だが、その不穏なイメージはビジネス街で異彩を放っている。岩田駿一(東京藝大院)はTシャツやジーンズ、カーテン、スリッパなどの表面に絵を描いて紙に転写した作品。すべて布製の日常品であり、身近なところから絵画や版画の基本をもういちどなぞっているようでもある。なんだか東京藝大が多いな。

2018/09/13(村田真)

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