artscapeレビュー

京都市立芸術大学作品展

2009年03月15日号

会期:2009.2.11~2009.2.15

京都市立芸術大学、京都市美術館[京都府]

会場が随分離れているし、全学年が出品する大規模な展覧会なので学内と京都市美術館両方の展示を一日で見ようと思うと結構急がねばならない。けれど、やっぱり今年も最後は慌てるはめになってしまった。学内展の油画と日本画の展示棟は特に、全体的に見応えがありとても良かった。特に繊細さと物語を感じさせる世界をドローイングとペインティングで展開していた油画の松嶋由香利、その隣のスペースで発表していた山下春菜が印象に残る。また、版画科の修士2回生の森末由美子の展示も気になった。“アジシオ”や“食卓塩”の小瓶が並んでいて、よく見ると中には外側のラベル部分の文字と位置がぴったり重なるように、青で着色した部分がある。もともとの中身を一度全部瓶から出し、改めて詰め直しているようだった。関西弁で「これアホや~!」(良い意味で)と思わず笑ってしまう労作。ほかにも、天の部分をグラインダーで削って山並みのように並べた百科事典、ファー生地を裏表交互に引き出し、ボーダー状にしたベスト(?)などが展示されていたが、どれも作品に知性とユーモアを感じられてワクワクした。学内展はひとりの学生がひとつの教室を使っている場合が多いのでたくさんの個展を見ているような気分。それだけに、展示面での課題もあり、会場としては美術館よりもハードルが高いとも言えるけれど今年も充実した内容。見逃さなくてよかった。

2009/02/13(金)(酒井千穂)

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