artscapeレビュー

大阪成蹊大学芸術学部卒業制作展

2009年03月15日号

会期:2009.2.18~2009.2.22

京都市美術館[京都府]

韓国の留学生、林栽慶(Jae-Kyoung Lim)の作品《霜月の花~蝶の舞》は、以前、大学内のギャラリースペースで二人展を開催していたときと同じシリーズだった。桜の花びらが舞うなかで韓国伝統衣装を身にまとった少女ふたりが、蝶と花のあいだで遊ぶ11枚の大きなCGプリント(?)が展示され、、展示壁そばの床には桜の花びらをイメージした薄いピンクの紙が散らされていた。ふたりの少女は林の分身なのだと解説にある。暖かい春ではなく、キンと冷えた空気が伝わるような透明感を放ち、儚い情趣に溢れていたが、今の心境をめいっぱいに広げて見せるような展示に見入ってしまった。以前の発表の際に見た作品よりもうんと気持ちが掴まれる。卒業制作展だし、当前と言えばそうなのかもしれないが、祖国を離れて暮らした時の経過を丁寧に見つめる林の態度がうかがえて打たれるものがあった。

2009/02/21(土)(酒井千穂)

2009年03月15日号の
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