artscapeレビュー

アジアとヨーロッパの肖像

2009年03月15日号

会期:2009.2.7~2009.3.29

神奈川県立歴史博物館[神奈川県]

アジア人の描いたアジア人とヨーロッパ人、ヨーロッパ人の描いたヨーロッパ人とアジア人の肖像を、東西の「接触以前」「接触以降」「近代の眼」などに分類整理した展覧会。接触以前の勝手な想像で描いた怪物的な肖像もおもしろいが、接触まもないころの東西混淆した異様な肖像画に惹かれる。なかでも、工部美術学校の教師ヴィンチェンツォ・ラグーザと結婚してイタリアに渡ったラグーザ玉が、望郷の念にかられて描いた《故国の思い出》という作品は、なかば西洋人と化した日本人が記憶をもとに日本の情景を油絵で描いたという、三重にも四重にも反転した構造をもつ実に味わい深い絵。でもここでの展示は一部なので、残りは葉山で見なくては。

2009/02/17(火)(村田真)

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