artscapeレビュー

東京五美術大学連合卒業・修了制作展

2009年03月15日号

会期:2009.2.19~2009.3.1

国立新美術館[東京都]

見た順に記すと、まず造形大。ここの絵画専攻はいつもインスタレーションや映像が混じってごちゃごちゃとにぎやかだ。絵具を塗り重ねて引っかき、ダブルイメージを生み出した平下英理のペインティングがすばらしい。隣の多摩美は全体にレベルが高い印象だが、数が多いだけに愚作も目につく。ここでも絵具を重ねて微妙な味わいを出す大橋笑子の作品が目を惹いた。日芸はいまだ20世紀、それも50~60年代で停滞している感じ。道は遠い。2階はまず女子美。牛の出産シーンを描いた絵を見て、たしか2年ほど前にも同じような絵を出してた学生がいたなあと思ったら、同じ井澤泉だった。大学院に進んでいたのね。あとはBankARTでも見覚えのある作品が多い。最後、武蔵美は質も量も多摩美とタメ張ってる。古そうな掛け軸3点の上に都市風景を描いた高橋哲也の作品にはちょっと驚いた。金持ちなのか? 田畑に落下中の10人くらいの裸婦を真上からペインタリーなタッチでとらえた川崎浩由にも驚いた。こうして見ると、どんな作品に反応するかで逆にいまの自分の好みがわかるなあ。

2009/02/21(土)(村田真)

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