artscapeレビュー

梅田宏明 新作公演

2009年04月01日号

会期:2009/03/20~2009/03/22

横浜赤レンガ倉庫[神奈川県]

床面を四角く枠取る無機質な照明のラインが、漆黒の闇の中央に佇む梅田を淡く照らす。映像作品《MONTEVIDEOAKI》を含む三本を並べた新作公演の良し悪しは、梅田のソロ舞台「Haptic」が典型的に示す、こうした「エレクトロニクス」「テクノロジー」といったものへのやや懐かしくも感じさせる「かっこいい」イメージを、見る側がどう評価するかにかかっていよう。懐かしいなどとぼくが言ってしまうのは、身体とエレクトロニクスをシンプルかつダイレクトな仕方で繋ぐ真鍋大度のクレイジーなアプローチにリアリティを感じる感性こそ現在だ、という時代認識による。観客の視覚・聴覚に鋭く切り込む照明と音響に、ダンサーは痙攣的に反応している(リアクション)ようで、結構踊って(アクション)いる。女性ダンサー三人を振り付けた《centrifugal》はそうでもなかったけれども、梅田のソロはストリート系ダンスのヴォキャブラリーを高速化したもののように見える。そうした高速運動ができる技量を見せたり「かっこいい」イメージを提供したりするだけでは表現として説得力を獲得しえない、そんな過酷な地平にいまの表現者は立たされている、などと思って見ていた。
梅田宏明:http://www.hiroakiumeda.com/

2009/03/22(日)(木村覚)

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