artscapeレビュー

白井剛「blue Lion」

2009年04月01日号

会期:2009/03/13~2009/03/15

東京芸術劇場 小ホール1[東京都]

休憩込みで150分。動物園のキリンや象やライオンが舞台奥のスクリーンに大写しされ、その前で、鈴木ユキオと寺田みさこが床に敷き詰めた白砂に突っ伏している。彼らとともに、ギター奏者、アコーディオン奏者、鍵盤などの演奏者、ヴォーカリストの4人が舞台上で共演する。前半は、ぼんやりとした淡い時間が続く。後半は、照明が明るいなどメリハリは出てきたのだけれど、前半と後半の違いは?など明確ではない部分が気になってしまう。全編、演奏を起点に、さまざまな場面が次々と舞台に置かれてゆく。出演者の自伝的な場面もあれば、絵本を鈴木と寺田で読み合うファンタジックな場面もある。要素は多様だが、それらをどう統合すればいいのか判然としない。判然としないので、作家の意図(エゴ)を探してしまう。見つからないので、全体が作家のメッセージ?などとわかろうとするが、その時点で白井剛という人間に興味のない(けれども、ダンス作品には興味のある)観者は取り残されることになる。それだから、静謐な雰囲気が印象に残った作品だった、などと穏当な結論に行き着かざるをえなくなる。

2009/03/13(金)(木村覚)

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