artscapeレビュー

岩渕貞太「タタタ」

2009年05月01日号

会期:2009/03/27~2009/03/29

のげシャーレ[神奈川県]

近年Ko & Edge Co.や群々でも活動している岩渕貞太。待望の新作。よかった。30分ほど酒井幸菜が踊ったあと、同じ振り付けを岩渕が続ける。照明や音響もタイミングは変えてあるとはいえ、ほぼ同じイメージ。瞬発力のダンス。振る、揺する、曲げる、相撲のように低姿勢で前進する。時々、ダンスというよりスポーツに見える。岩渕の柔軟で力強い身体は魅力的で、また、2月に見たマリー・シュイナールの作品を思い起こさせた。舞台上の身体が、なにかの代理表象となるのではなく、自らの身体それ自体を見る者に率直に提示するのは、明らかに最近のモードのひとつ。テレ・コミュニケーションが氾濫する現在に、それでも観客が劇場に足を運ばずにはいられない舞台の要素とはいったいなんなのか? そうした問いへの、これはひとつの解答なのだろう。
岩渕貞太「タタタ」:http://kyunasaka.jp/topics/studio/tathata.html

2009/03/29(木村覚)

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