artscapeレビュー

杉原邦生 演出『14歳の国』(キレなかった14才♥りたーんず)

2009年06月01日号

会期:2009/04/21~2009/05/04

こまばアゴラ劇場[東京都]

宮沢章夫が書いた、神戸の児童連続殺害事件を基にした戯曲の上演。殺害事件後、疑心暗鬼になった教員たちが体育の時間に教室で生徒の荷物チェックをする話。犯罪防止のために行なわれる犯罪的な行為という矛盾が、教員が教員を殺害するという犯罪へとエスカレートする。杉原はこの話に、一台のビデオカメラを持ち込む。机をのぞき込むカメラが、机に置かれたノートにある「名探偵コナン」の落書きを映すと、脇の教師は、コナンぶって台詞を呟く。物語とは無関係のこうした演出が、杉原らしさというかこの世代らしい演劇への距離感「演劇でどんな遊びができるか」をめぐる実験的遊戯をあらわにしていた。カメラは、鬱屈がピークとなった教師同士の殺害事件を映し出し、やや出来事がうやむやになったままミラーボールが回り、まさに「キレ」たディスコへと舞台は変貌し、そこで終幕した。

2009/05/02(木村覚)

2009年06月01日号の
artscapeレビュー