artscapeレビュー

絵画の、あつみ

2009年09月15日号

会期:2009/07/25~2009/08/23

練馬区立美術館[東京都]

コレクションを基礎とした企画展示。絵画というと「なにが描かれているか」という表面のイメージばかり気になり、「どこに描かれているか」という厚みをもった物質的側面は無視されがち。その「厚み」に注目した興味深い展示だ。絵具をこってり盛り上げた油絵をはじめ、キャンヴァスの裏側、日本画の表装や油絵の額縁なども見せているが、最大の目玉は、美術館ファサードを覆うガラス面に描いた吉田暁子の作品だ。ガラスに和紙を貼って色を塗り、オバケみたいなものを現出させている。ガラスは物質性が希薄なので厚みを感じさせないが、向こう側の風景も採り込むことができるから、いちばん厚みがある(奥行きが深い)とも言えるだろう。

2009/08/22(土)(村田真)

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