artscapeレビュー

児玉靖枝 展 深韻

2009年10月01日号

会期:2009/09/07~2009/09/19

O GALLERY EYES[大阪府]

近年、自宅近所の森をモチーフとし、具象的傾向を強めている児玉。具象といってもネガポジが逆転したような彩色で、風景の再現に留まらない絵画表現がなされていたのだが、新作は緑を基調としており、これまで以上に具象度の高い作風が印象的だった。だが、彩色が緑だからといって、彼女が風景の再現を狙っているわけではあるまい。副題にもある通り、森の中に分け行った時に感じられる、匂い、音、気配など、五感を満たすデリケートな感覚を画布上に留めようとしているのではなかろうか。特に120号の縦位置作品は森々とした気配が濃密で、山中に分け行った時の感覚が脳裏をよぎった。

2009/09/07(月)(小吹隆文)

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