artscapeレビュー

壺中天『2001年壺中の旅』

2010年01月15日号

会期:2009/12/19~2009/12/23

壺中天[東京都]

かつて向雲太郎が絶賛された作品の再演。壺中天らしさが存分に堪能できる上演だった。白塗りの裸体など古典的な舞踏の意匠を纏いながら、等身大の若者の暴力性やかわいさや惨めさをストレートに表わすなんてところがその「らしさ」の筆頭だろう。天井から大量の花吹雪を浴びつつ、男2人が感動的な抱擁と接吻を成し遂げる冒頭のシーン、地獄の番人(?)の前で、ソーセージの男根を自ら切断してゆくシーンなどの名場面は、狭い会場ならではの生々しさも相まって、むせかえるような暑苦しさに圧倒されつつも魅力的だった。海外での評価は非常に高い彼ら。もっと国内で評価され人気を得るべき存在なのになあとあらためて思わされた。

2009/12/19(土)(木村覚)

2010年01月15日号の
artscapeレビュー